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【第3回】ES調査の分析の視点

満足度を測定する

従業員満足度調査(ES調査)では、さまざまな項目に「どのくらい満足していますか」などと問い、項目ごとの満足回答の比率(回答者に占める「満足」に相当する選択肢を選んだ者の割合)を算出するのが一般的です。満足度を聴く質問は満足~不満を5段階の尺度で聴くパターンが多いです。どっちつかず・賛否保留の選択肢を外した4段階や、満足と不満をさらに細分化した多段階のパターンもありますが、迷うなら5段階にしておきましょう。いずれにしても、その満足度の値の高低で項目を評価します。そして、満足度の低い項目は高くしようと考えるわけです。

重要度を測定する

ただ、どの項目も一様に満足度が低い場合、あるいは(一方で高い項目があっても)満足度の低い項目が複数・多岐にわたる場合、それらを一気に改善することは困難でしょう。費やせる態勢や人員、時間やコストには制限があります。また、どの項目から着手してよいか判断しづらいことがあります。そこで、重要性の高い項目から優先して満足度を高めるという進め方や取組みが必要になります。

その重要性を把握するために、満足度を問う項目に対して、併せて重要度も聴きます。これらの項目は「どのくらい重要と思いますか」などと。その際のちょっとしたテクニックとして、満足度の質問よりも前に重要度の質問を置きます。満足度を聴いたことで重要度の回答が影響を受けることを避けたいからです。重要かは事前評価や前提、満足かは事後評価や結果という背景・事情があります。

満足度を分析する

さて、それでは満足度と重要度をどう見たらよいでしょうか。その視点にポートフォリオという捉え方があります。単純に言えば、2つの指標を縦軸・横軸で組み合わせ、4つの象限で関係を読み取るというものです。象限の区切り方は平均値で分けるのが相対的・客観的で、最も簡易でしょう。

満足度を縦軸、重要度を横軸とすると、最も注目すべきは、重要度が高い(平均以上)にもかかわらず、満足度は低い(平均以下)という第4象限、ポートフォリオ分析ではよく「重点改善分野」と呼ばれるところです。ここにある項目を優先的に改善することが最も効率的で効果的な手立てです。次に注目・優先するのは第1象限、重要度が高く、満足度も高い「重点維持分野」です。ここは継続させること、下げないことに配慮します。

満足度は低く、重要度も低い第3象限の「改善分野」は余力がある場合には取組んで満足度を上げたい領域・項目、そして、満足度は高く、重要度は低い第2象限の「維持分野」はそのままでよい領域・項目と読み取ります。

重要度は優先付けの判断材料で、あくまで目標は満足度の向上です。

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この記事のライター

石原 公英 (フロンティアマインド代表)

1965年生まれ。
新聞社系総合調査会社でリサーチャー、広告代理店系マーケティング会社でアナリスト、東証上場マーケティングリサーチ会社でマネージャー等を経て、2020年12月フロンティアマインド合同会社設立。

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